純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 101/1000 米田友歌里『トロンプルイユの星』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した米田友歌里の『トロンプルイユの星』です。 1.ざっくりあらすじ 従業員が四人のイベント会社に勤務する主人公の藤田サトミは、地震のたびに誰かに掴まれるような感覚を感じていた。ある日、職場の久坂に…

純文学1000本ノック 100/1000 新庄耕『狭小邸宅』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した新庄耕の『狭小邸宅』です。 1.ざっくりあらすじ 一流大学を卒業するも、深く考えずに中堅の不動産屋に入った主人公は、物件が売れずパワハラと残業ざんまいの日々をおくる。おだやかな彼女もできたが、…

純文学1000本ノック 99/1000 髙橋陽子『黄金の庭』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した髙橋陽子の『黄金の庭』です。 1.ざっくりあらすじ ファンタジーの世界に近い黄金町に引っ越してきた青奈と旦那の那津男。屋根の両脇についたしゃちほこが動いたり、お寺にまつられた閻魔様が動いたりす…

純文学1000本ノック 98/1000 澤西祐典『フラミンゴの村』

どうも、こんにちは。 今回は2011年にすばる文学賞を受賞した『フラミンゴの村』です。 1.ざっくりあらすじ ベルギーのある村で、妻や女性たちが突如としてフラミンゴになってしまう。そういった不条理にあいながらも、村の男たちは団結して秘密を守って生…

純文学1000本ノック 97/1000 吉村萬壱『クチュクチュバーン』

どうも、こんにちは。 今回は芥川賞作家でもある吉村萬壱が文学界新人賞を受賞した『クチュクチュバーン』です。 1.ざっくりあらすじ 人間が周囲のものに同化したり身体が収縮するなどして、通常考えられているような意味を失った世界の話。人間たちは変化…

純文学1000本ノック 96/1000 埴谷雄高『闇のなかの黒い馬』

どうも、こんにちは。 今回は死ぬまで書きつづけた未完の大作『死霊』で有名な埴谷雄高が、谷崎潤一郎賞を受賞した作品『闇のなかの黒い馬』です。 1.ざっくりあらすじ 作者自身とおもわれる主人公は、不眠症をわずらっており、夢を中心としてその周辺でお…

純文学1000本ノック 95/1000 九段理江『悪い音楽』

どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『悪い音楽』です。 1.ざっくりあらすじ 中学校の音楽教師をつとめる主人公の三井ソナタは、昔から人の心があまり理解できず、浮いた存在である。ある日、偶然居合わせた中学生同士のもめごとから面倒な…

純文学1000本ノック 94/1000 青野暦『穀雨のころ』

どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『穀雨のころ』です。 1.ざっくりあらすじ 高校生四人の詩的群像劇という雰囲気。サッカー部を病気により休んでいるハツは、サッカーの才能がなく、あるとき美術部のエミに声をかけられモデルになり、自…

純文学1000本ノック 93/1000 三木三奈『アキちゃん』

どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『アキちゃん』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のミッカーは、小学生時代つねに一緒にいたアキちゃんのことを強く憎んでいて、そのことを回想していく。アキちゃんは周りに取り入り自分より下だと思っ…

純文学1000本ノック 92/1000 田村広済『レンファント』

どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『レンファント』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の弘明は、子どもが生まれたとき、植田という中学時代の同級生に殴られて右目を怪我したことを思い出していた。弘明は子どものへその緒を切るときまで…

純文学1000本ノック 91/1000 奥野紗世子『逃げ水は街の血潮』

どうも、こんにちは。 今回は文学界新人賞を受賞した『逃げ水は街の血潮』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の工藤朝子は顔のかわいさによって地下アイドルになり、若くて将来有望な社会学者とも付き合っている。二十六歳で若さとかわいさの価値の下落を感…

純文学1000本ノック 90/1000 吉行淳之介『夕暮れまで』

どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の後期代表作『夕暮れまで』。設定は中年男性と二十代前半の女性のカップルということもあり、社会現象を起こした作品です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の佐々は四十過ぎで既婚者だが、二十三歳の杉子と愛人のような…

純文学1000本ノック 89/1000 多和田葉子『かかとを失くして』

どうも、こんにちは。 今回はドイツ在住作家の多和田葉子のデビュー作『かかとを失くして』です。 1.ざっくりあらすじ 書類結婚によって海外に一人で来た主人公は、部屋にこもり姿を見せようとしない夫と生活を始める。主人公は町の生活事情を知るために学…

純文学1000本ノック 88/1000 石川淳『焼跡のイエス』

どうも、こんにちは。 今回は無頼派の一人と言われた石川淳の短編『焼跡のイエス』です。 1.ざっくりあらすじ 規制前最終日に上野の闇市を通った主人公は、屋台にいる女の肉づきのいい足に見惚れている。隣のイワシ屋に一人の身なりの汚い少年があらわれ、…

純文学1000本ノック 87/1000 吉行淳之介『砂の上の植物群』

どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の代表作の一つ『砂の上の植物群』です。デビューから十年ほど経ったあとの作品です。 1.ざっくりあらすじ 伊木一郎という化粧品のセールスマンをする男が主人公。彼は三十四歳で死んだ父の呪縛に捉われている気がし…

純文学1000本ノック 86/1000 吉行淳之介『原色の街』

どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の『原色の街』です。作者の創作初期に当たる作品です。 1.ざっくりあらすじ 三人称複数形で、主な主人公は娼婦のあけみ、汽船会社勤めのサラリーマン元木英夫という形。狭い路地にネオンのかがやく娼婦の街で三か月…

純文学1000本ノック 85/1000 吉行淳之介『驟雨』

どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の『驟雨』です。1954年に芥川賞を受賞した短編小説です。 1.ざっくりあらすじ サラリーマンをしながら、しばらく結婚の意志はなく娼婦通いをする山村英夫という主人公が、道子という娼婦に惹きつけられ複雑な感情を…

純文学1000本ノック 84/1000 アルベール・カミュ『異邦人』

どうも、こんにちは。 今回はアルベール・カミュの『異邦人』です。ノーベル文学賞を受賞した作者のデビュー作です。昔一度読んで、最近もう一度読みました。 1.ざっくりあらすじ 主人公の私の母の死から始まる物語。私は、葬儀に行った翌日に海水浴に行き…

純文学1000本ノック 83/1000 大江健三郎『死者の奢り』

どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『死者の奢り』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の短編小説です。一読してみましたが、内容は理解しきれなかったです。 1.ざっくりあらすじ アルバイトとして割のいい大学病院の死体運びを…

純文学1000本ノック 82/1000 大江健三郎『人間の羊』

どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『人間の羊』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の短編小説です。 1.ざっくりあらすじ 家庭教師のバイト終わりにバスに乗り込んだ主人公の僕は、陽気に酔っぱらった外国人兵たちの間に座って…

純文学1000本ノック 81/1000 大江健三郎『飼育』

どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『飼育』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の当時最年少だった芥川賞受賞作です。 1.ざっくりあらすじ 戦時中、谷間の村に父と弟と三人で住む主人公の僕。町との橋は大雨による土砂崩れで塞…

純文学1000本ノック 80/1000 大江健三郎『万栄元年のフットボール』

どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『万栄元年のフットボール』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の代表的作品として世界中で読まれている作品です。 1.ざっくりあらすじ 妻との間に生まれた赤ん坊が重い障害をもっており、養…

純文学1000本ノック 79/1000 遠野遥『破局』

どうも、こんにちは。 今回は遠野遥の『破局』です。2020年芥川賞を受賞した本作。 1.ざっくりあらすじ 高校時代ラグビーをしていた主人公の陽介は、母校のコーチをしながら大学入学後も身体を鍛え続けている。彼は性欲に悩まされつつも、女性に優しくしろ…

純文学1000本ノック 78/1000 安部公房『砂の女』

どうも、こんにちは。 今回は安部公房の『砂の女』です。作者の代表的作品として、世界各国で翻訳されて読まれています。 1.ざっくりあらすじ 砂丘へ昆虫採集に出た男は、砂丘にある部落に一泊するつもりが、深い砂の穴に埋まりかけた家に監禁される。そこ…

純文学1000本ノック 77/1000 中上健次『岬』

どうも、こんにちは。 今回は中上健次の『岬』です。作者は本作で芥川賞を受賞しました。続編として『枯木灘』、『地の果て 至上の時』があります。 1.ざっくりあらすじ 二十四歳の秋幸は、義兄の組の土方として働いている。紀州の田舎で秋幸を取り巻くの…

純文学1000本ノック 76/1000 加藤秀行『サバイブ』

どうも、こんにちは。 今回は加藤秀行の『サバイブ』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 高校生までを柔道一筋で過ごしてきた主人公のダイスケは、目標もなくカジュアルなバーでアルバイトをしながら、共に外…

純文学1000本ノック 75/1000 砂川文次『市街戦』

どうも、こんにちは。 今回は砂川文次の『市街戦』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 大学卒業後、自衛隊に入ったKは幹部候補生としての最後の総合訓練を受けていた。総合訓練では100kmにおよぶ行程を歩かな…

純文学1000本ノック 74/1000 沼田真佑『影裏』

どうも、こんにちは。 今回は沼田真佑の『影裏』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。その後、本作で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 本社から岩手県にある子会社へ異動となった今野は、地元の社員たちと深くなじむこ…

純文学1000本ノック 73/1000 金子薫『アルタッドに捧ぐ』

どうも、こんにちは。 今回は金子薫の『アルタッドに捧ぐ』です。作者は本作で文藝賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 大学院試験に落ちた主人公の本間は、死んだ祖父の家に住みながら小説を書いていた。その途中で、小説の主人公であるモ…

純文学1000本ノック 72/1000 中上健次『枯木灘』

どうも、こんにちは。 今回は中上健次の『枯木灘』です。 1.ざっくりあらすじ 種違いの四人兄妹の末っ子で幼かった秋幸は母フサに連れられ、地元で建設業を営んでいる竹原繁蔵の家に引き取られた。秋幸は二十六歳になり父龍造そっくりの巨体に成長し繁蔵の…