純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

純文学1000本ノック 44/1000 中村文則『掏摸』 

どうも、こんにちは。 今回は、中村文則の『掏摸』。私は初めて読みましたが、2005年に『土の中の子供』で芥川賞を受賞して、現在も話題作に事欠かない純文学作家です。 1.読後感 独特の重さがある文体とラストの微かな希望のような終わりに、呆気に取られ…

純文学1000本ノック 43/1000 太宰治『富嶽百景』 富士の中腹での生活

どうも、こんにちは。 今回は、太宰治の『富嶽百景』。 1.読後感 わりにさっぱりした感覚になった。 2.ざっくりあらすじ (1)富士へ 主人公(作者)は井伏鱒二を訪ね、富士三景に数えられる御坂峠の茶屋と行く。彼はそこで仕事をゆっくやろうとする。…

純文学1000本ノック 42/1000 ヘッセ『春の嵐』(ゲルトルート) 青春の甘く苦い思い出たち

どうも、こんにちは。 今回は、ヘッセの代表作の一つ『春の嵐』。音楽家の青春を瑞々しく描いています。 1.読後感 青春の熱情とそれを越えていく境目の昔を懐かしむような、心地よいものが身体にすっと入って来た。 2.ざっくりあらすじ (1)足 音楽家…

純文学1000本ノック 41/1000 サルトル『嘔吐』 存在に対する吐き気が続く男の行く末は

どうも、こんにちは。 今回は、ジャンポール・サルトルの代表小説『嘔吐』。当時名の売れていなかった彼はこの作品において広く認められ、その後のフランス文学界の巨匠という地位を手に入れていく。 1.読後感 自分の存在がふわふわと急にどこかに浮かんで…