2021-01-01から1年間の記事一覧
どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の後期代表作『夕暮れまで』。設定は中年男性と二十代前半の女性のカップルということもあり、社会現象を起こした作品です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の佐々は四十過ぎで既婚者だが、二十三歳の杉子と愛人のような…
どうも、こんにちは。 今回はドイツ在住作家の多和田葉子のデビュー作『かかとを失くして』です。 1.ざっくりあらすじ 書類結婚によって海外に一人で来た主人公は、部屋にこもり姿を見せようとしない夫と生活を始める。主人公は町の生活事情を知るために学…
どうも、こんにちは。 今回は無頼派の一人と言われた石川淳の短編『焼跡のイエス』です。 1.ざっくりあらすじ 規制前最終日に上野の闇市を通った主人公は、屋台にいる女の肉づきのいい足に見惚れている。隣のイワシ屋に一人の身なりの汚い少年があらわれ、…
どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の代表作の一つ『砂の上の植物群』です。デビューから十年ほど経ったあとの作品です。 1.ざっくりあらすじ 伊木一郎という化粧品のセールスマンをする男が主人公。彼は三十四歳で死んだ父の呪縛に捉われている気がし…
どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の『原色の街』です。作者の創作初期に当たる作品です。 1.ざっくりあらすじ 三人称複数形で、主な主人公は娼婦のあけみ、汽船会社勤めのサラリーマン元木英夫という形。狭い路地にネオンのかがやく娼婦の街で三か月…
どうも、こんにちは。 今回は吉行淳之介の『驟雨』です。1954年に芥川賞を受賞した短編小説です。 1.ざっくりあらすじ サラリーマンをしながら、しばらく結婚の意志はなく娼婦通いをする山村英夫という主人公が、道子という娼婦に惹きつけられ複雑な感情を…
どうも、こんにちは。 今回はアルベール・カミュの『異邦人』です。ノーベル文学賞を受賞した作者のデビュー作です。昔一度読んで、最近もう一度読みました。 1.ざっくりあらすじ 主人公の私の母の死から始まる物語。私は、葬儀に行った翌日に海水浴に行き…
どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『死者の奢り』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の短編小説です。一読してみましたが、内容は理解しきれなかったです。 1.ざっくりあらすじ アルバイトとして割のいい大学病院の死体運びを…
どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『人間の羊』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の短編小説です。 1.ざっくりあらすじ 家庭教師のバイト終わりにバスに乗り込んだ主人公の僕は、陽気に酔っぱらった外国人兵たちの間に座って…
どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『飼育』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の当時最年少だった芥川賞受賞作です。 1.ざっくりあらすじ 戦時中、谷間の村に父と弟と三人で住む主人公の僕。町との橋は大雨による土砂崩れで塞…
どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『万栄元年のフットボール』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の代表的作品として世界中で読まれている作品です。 1.ざっくりあらすじ 妻との間に生まれた赤ん坊が重い障害をもっており、養…
どうも、こんにちは。 今回は遠野遥の『破局』です。2020年芥川賞を受賞した本作。 1.ざっくりあらすじ 高校時代ラグビーをしていた主人公の陽介は、母校のコーチをしながら大学入学後も身体を鍛え続けている。彼は性欲に悩まされつつも、女性に優しくしろ…
どうも、こんにちは。 今回は安部公房の『砂の女』です。作者の代表的作品として、世界各国で翻訳されて読まれています。 1.ざっくりあらすじ 砂丘へ昆虫採集に出た男は、砂丘にある部落に一泊するつもりが、深い砂の穴に埋まりかけた家に監禁される。そこ…
どうも、こんにちは。 今回は中上健次の『岬』です。作者は本作で芥川賞を受賞しました。続編として『枯木灘』、『地の果て 至上の時』があります。 1.ざっくりあらすじ 二十四歳の秋幸は、義兄の組の土方として働いている。紀州の田舎で秋幸を取り巻くの…
どうも、こんにちは。 今回は加藤秀行の『サバイブ』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 高校生までを柔道一筋で過ごしてきた主人公のダイスケは、目標もなくカジュアルなバーでアルバイトをしながら、共に外…
どうも、こんにちは。 今回は砂川文次の『市街戦』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 大学卒業後、自衛隊に入ったKは幹部候補生としての最後の総合訓練を受けていた。総合訓練では100kmにおよぶ行程を歩かな…
どうも、こんにちは。 今回は沼田真佑の『影裏』です。作者は本作で文学界新人賞を受賞しデビューしています。その後、本作で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 本社から岩手県にある子会社へ異動となった今野は、地元の社員たちと深くなじむこ…
どうも、こんにちは。 今回は金子薫の『アルタッドに捧ぐ』です。作者は本作で文藝賞を受賞しデビューしています。 1.ざっくりあらすじ 大学院試験に落ちた主人公の本間は、死んだ祖父の家に住みながら小説を書いていた。その途中で、小説の主人公であるモ…
どうも、こんにちは。 今回は中上健次の『枯木灘』です。 1.ざっくりあらすじ 種違いの四人兄妹の末っ子で幼かった秋幸は母フサに連れられ、地元で建設業を営んでいる竹原繁蔵の家に引き取られた。秋幸は二十六歳になり父龍造そっくりの巨体に成長し繁蔵の…
どうも、こんにちは。 今回は大江健三郎の『見るまえに跳べ』です。日本人二人目のノーベル文学賞作家である作者の初期短編集です。 1.ざっくりあらすじ 大学生の主人公は、身体の内側にも外側にもにがい静寂を持ち、政治にも生活にも無関心で生活している…
どうも、こんにちは。 今回は町屋良平の『青が破れる』です。2016年文藝賞を受賞した本作。作者はその後、『1R1分34秒』で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ フリーターをしながらプロボクサーを目指す秋吉。友人のハルオから誘われ、その恋人…
どうも、こんにちは。 今回は畠山丑雄『地の底の記憶』です。2015年文藝賞を受賞した本作。 1.ざっくりあらすじ 平坦な特徴の少ない宇津茂平(うづもひら)という土地に潜む記憶をたどっていくというような物語。なにも娯楽のない宇津茂平には田舎に見られ…
どうも、こんにちは。 今回は若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』です。2017年文藝賞を受賞し、その後芥川賞も受賞している本作。 1.ざっくりあらすじ 若いころ、故郷から第一回東京オリンピックのファンファーレとともに東京へ一人で出てきた桃子さん。…
どうも、こんにちは。 今回はロシア出身の世界的文豪ドストエフスキーの晩年の代表作『カラマーゾフの兄弟』です。昔一度『罪と罰』で挫折して以来とっつきにくかった作者に再び挑戦してみました。 1.ざっくりあらすじ 父フョードル、長男ドミートリイ、次…
どうも、こんにちは。 今回は中上健司の『十九歳の地図』です。四十六歳という若さでこの世を去り、日本文学界においてもはや伝説的な存在となった作者のデビュー作です。 1.ざっくりあらすじ 東京で予備校生として新聞配達員として働きながら、新聞配達員…
どうも、こんにちは。 今回は志賀直哉の『城の崎にて』です。今でもその緻密な描写力に定評のある、志賀直哉の短編代表作の一つです。 1.ざっくりあらすじ 電車にひかれ、大けがをした主人公は、城崎温泉に療養旅行に行く。彼はそこで、宿で見た死んだ蜂や…
どうも、こんにちは。 今回は遠野遥の『改良』です。2019年文藝賞を受賞した本作。その後、作者は『破局』で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 美しいものに憧れ、女装をする大学生の主人公は、女性への性欲をデリバリーヘルス嬢で満たしながら…
どうも、こんにちは。 今回は上田岳弘の『太陽』です。2013年新潮新人賞を受賞した本作。その後、作者は『ニムロッド』で芥川賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 現代と同じ人類の「第一形態」にある人々の群像劇が中心となっている。その中で、不老…