純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 83/1000 大江健三郎『死者の奢り』

どうも、こんにちは。

 

今回は大江健三郎の『死者の奢り』です。日本人として二人目にノーベル文学賞を受賞した作者の短編小説です。一読してみましたが、内容は理解しきれなかったです。

 

1.ざっくりあらすじ

 

アルバイトとして割のいい大学病院の死体運びを申し込んだ仏文科学生の僕。死体運びをしながら、幻聴として死者の声を聞き、それと会話する。僕は非常にあいまいな感情を有していて、生活や未来に希望を持っていない。そのことを他者に説明することは骨がおれるし百パーセント理解されることもないと考えている。一緒に作業していた女学生は妊娠していて堕胎費用を稼ごうとしていた。しかし、死体を見ているうちに産もうと思ったが、転倒し流産の兆候があらわれてしまう。新しい水槽へ死体を運んでいたが、その作業が誤りで死体はすべて焼却処分することが発覚する。死体に愛着のある管理人は憤り落ち込むが、僕はアルバイト代の請求などのことを考えめんどくさい気分になる。

 

2.作品解剖

(1)文体★★★

詩的な感覚を多用した文体である。

(2)構成★★☆

時系列に沿って進められている。

(3)論理★★☆

特に矛盾点はない。

(4)テーマ 不明

僕のなかに潜むニヒリズム的な傾向や矛盾する感情を徒労に終わる仕事に見立てて描こうとしたのだとは思うが、読後の納得感はうすかった。それでは把握しきれない広がりがある気がする。

 

3.総合評価と感想

総合

不明点が多いので評価は避ける。非常に繊細な感覚が文体から伝わる。