純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 131/1000 本谷有希子『異類婚姻譚』

こんにちは。 今回は2013年に芥川賞を受賞した本谷有希子の『異類婚姻譚』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のサンちゃんは子無しの専業主婦で、家ではぐうたらした夫と二人で暮らしている。ある日、夫の顔が自分に似てきていることに気づき、奇妙に思う。…

純文学1000本ノック 130/1000 黒田夏子『abサンゴ』

こんにちは。 今回は2013年に芥川賞を受賞した黒田夏子の『abサンゴ』です。 先に謝罪しておきたいですが、一読してみて現在の私にはよくわかりませんでした。 1.ざっくりあらすじ 主人公が自らの幼い少女時代を思い出し、親や周囲の生活環境を感じとりな…

純文学1000本ノック 129/1000 町屋良平『1R1分34秒』

こんにちは。 今回は2019年に芥川賞を受賞した町屋良平の『1R1分34秒』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公は21歳でプロボクサーをしながら、パチンコ店でアルバイトをしている。しかし、デビュー1戦目のTKO勝ち以降、負けが込み、1勝2敗1分という戦績であ…

純文学1000本ノック 128/1000 トルーマン・カポーティ『真夏の航海』

こんにちは。 今回は『ティファニーで朝食を』や『冷血』で有名なアメリカの作家『トルーマン・カポーティ』の初期作品『真夏の航海』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のグレディは17歳の女性。上流階級の生まれで、理知的な一方、周囲の習わしについてい…

純文学1000本ノック 127/1000 柳美里『JR上野駅公園口』

こんにちは。 今回は芥川賞作家である柳美里の『JR上野駅公園口』です。この作品は全米図書賞を受賞しています。 1.ざっくりあらすじ 主人公はすでに死んでおり、霊体のようなものとして世界を見ている。平成天皇と同じ年に生まれ、故郷の福島から出稼ぎで…

純文学1000本ノック 126/1000 ロブ・グリエ『消しゴム』

こんにちは。 今回はフランス、ヌーヴォーロマンの代表的作家ロブ・グリエの『消しゴム』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の特別捜査官ヴァラスは、日本でいう公安のような場所に異動になり、最初の仕事として、政府転覆を目論む巨大組織の連続殺人事件で…

純文学1000本ノック 125/1000 川上弘美『蛇を踏む』

こんにちは。 今回は1996年に芥川賞を受賞した川上弘美の『蛇を踏む』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のサナダヒワ子は、数珠屋のカナカナ堂への出勤途中に蛇を踏んでしまい、その蛇が人間の女の姿に変わり家に居着くようになる。 女は蛇の世界へ来るよ…

純文学1000本ノック 124/1000 村上春樹『1973年のピンボール』

こんにちは。 今回は芥川賞候補になったことのある村上春樹の二作目の長編『1973年のピンボール』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の僕は、大学を卒業後、翻訳会社を友人と興しそれなりに成功している。変わり映えのない日々のなかで、過去を思い起こし元…

純文学1000本ノック 123/1000 柳美里『家族シネマ』

こんにちは。 今回は1997年に芥川賞を受賞した柳美里の『家族シネマ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の素美は会社勤めをしながら、同僚の男と付き合いそこに住んでいる。ある日、映画の撮影隊がその部屋にやってくる。映画は妹洋子の繋がりではじまった…

純文学1000本ノック 122/1000 吉村萬壱『ハリガネムシ』

こんにちは。 今回は2003年に芥川賞を受賞した吉村萬壱の『ハリガネムシ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の慎一は2年目で副担任として高校の教師を務めているが、性と暴力に惹きつけられるエネルギーを持て余し、若者たちがセックスしていた工事現場を…

純文学1000本ノック 121/1000 保坂和志『この人の閾』

こんにちは。 今回は1995年に芥川賞を受賞した保坂和志の『この人の閾』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の三沢は37歳の男で仕事の関係で小田原に来たが、相手にすっぽかされて、近くに住む、大学の一つ上の女の先輩である主婦となった真紀を思い出して電…

純文学1000本ノック 120/1000 奥泉光 『三つ目の鯰』

こんにちは。 今回は芥川賞を受賞した奥泉光の芥川賞候補作『三つ目の鯰』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のサトルは東京の大学に通っているが、父の死に際して父の故郷である庄内の農家に行く。そこで叔父のマモルとワタルと時間を過ごし、後継者不在の…

純文学1000本ノック 119/1000 奥泉光『石の来歴』

こんにちは。 今回は1994年に芥川賞を受賞した奥泉光の『石の来歴』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の真名瀬は第二次世界大戦に従軍し、帰国してからレイテ島の洞窟での兵隊との話を思い出し、石集めをはじめた。書店経営と石集めの傍ら、子供が二人生ま…

純文学1000本ノック 118/1000 川上未映子『乳と卵』

こんにちは。 今回は2008年に芥川賞を受賞した川上未映子の『乳と卵』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公は東京に住んでおり、そこに大阪に住む姉の巻子と姪の緑子が遊びに来る。巻子は離婚し場末のスナックで働くシングルマザーで、豊胸しようとしておりそ…

純文学1000本ノック 117/1000 今村夏子『むらさきのスカートの女』

こんにちは。 今回は2019年に芥川賞を受賞した今村夏子の『むらさきのスカートの女』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公は街中で笑いや願掛けの対象となっている「むらさきのスカートの女」に興味を抱き友達になりたいと思って観察している。自分の職場に就…

純文学1000本ノック 116/1000 宇佐見りん『推し、燃ゆ』

こんにちは。 今回は2021年に芥川賞を受賞した宇佐見りんの『推し、燃ゆ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のあかりは女子高生で、推していたアイドルの上野真幸がファンの女性を殴ったとして炎上する。それからあかりは今まで以上に推しのために活動する…

純文学1000本ノック 115/1000 安部公房『他人の顔』

どうも、こんにちは。 今回は戦後作家として絶大な人気を誇る安部公房の『他人の顔』です。有名な『砂の女』しか読んだことがなかったので、私にとって二作目の安部公房です。 1.ざっくりあらすじ 勤めている研究所の実験中に爆発を起こして顔一面に深いケ…

純文学1000本ノック 114/1000 トルストイ『クロイツェル・ソナタ』

どうも、こんにちは。 今回はロシアの文豪トルストイの性を描いた中編作品『クロイツェル・ソナタ』です。トルストイは道徳的な作品の『人はなんで生きるか』しか読んだことがなかったので、テーマの違いにおどろきました。 1.ざっくりあらすじ 二昼夜にお…

純文学1000本ノック 113/1000 年森瑛「N/A」

どうも、こんにちは。 久しぶりに開きました。その間本を読んでいなかったわけではないですが、ファンタジーものだったりしたので、今回です。 今回は文学界新人賞を受賞した年森瑛の『N/A』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のまどかは、初潮を経験してか…

純文学1000本ノック 112/1000 大江健三郎『われらの時代』

どうも、こんにちは。 今回は日本人二人目のノーベル文学賞作家の受賞した大江健三郎の二作目の長編小説である『われらの時代』です。 1.ざっくりあらすじ 南靖男は、仏文科生でありながら同学年の左翼運動は現実的でないと嘲笑しながら、中年の情婦の頼子…

純文学1000本ノック 111/1000 須賀ケイ『わるもん』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した須賀ケイの『わるもん』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の純子は、ぼんやりしていて近所の子どもたちから馬鹿にされている。ある日、純子以外の家族みんなに疎まれていた父が家から追い出される。純子…

純文学1000本ノック 110/1000 高瀬隼子『犬のかたちをしているもの』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した高瀬隼子の『犬のかたちをしているもの』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の薫は、二十七歳から郁也と付き合いはじめて三年になる。彼女は大学生のときに卵巣の手術をし、それ以来セックスに対する抵抗…

純文学1000本ノック 109/1000 山岡ミヤ『光点』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した山岡ミヤの『光点』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の実以子は、工場しか就職口がないような田舎町に住み、中学を卒業して食品加工工場で働いている。母は父を溺愛し、主人公には厳しい。父は不倫して…

純文学1000本ノック 108/1000 木崎みつ子『コンジュジ』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した木崎みつ子の『コンジュジ』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公のせれなは、子どものころわがままな母が家をでて、父が自殺未遂をした。すでに亡くなっているロックスターのリアンというという人物を知り…

純文学1000本ノック 107/1000 上村亮平『みずうみのほうへ』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した上村亮平の『みずうみのほうへ』です。 1.ざっくりあらすじ アメリカあたりの外国が舞台になっている。主人公は、子どものころ父とフェリーで旅にでたときに父がいなくなった。その後、伯父に引き取られ…

純文学1000本ノック 106/1000 春見朔子『そういう生き物』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した春見朔子の『そういう生き物』です。 1.ざっくりあらすじ 高校のころ同級生だった薬剤師の千景とまゆ子はひさしぶりに会い、千景の誘いで一緒に住みはじめた。千景は仕事をしながら、大学の恩師の先生に…

純文学1000本ノック 105/1000 金城孝祐『教授と少女と錬金術師』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した金城孝祐の『教授と少女と錬金術師』です。 1.ざっくりあらすじ 薬学部の学生である久野は、禿げ頭の江藤教授から育毛剤の共同研究をもちかけられた。久野は親戚から受け継いだ古い薬局のなかに油の研究…

純文学1000本ノック 104/1000 黒名ひろみ『温泉妖精』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した黒名ひろみの『温泉妖精』です。 1.ざっくりあらすじ 幼少期から自分の容姿にコンプレックスをかかえていた主人公の絵里は、整形をくりかえしヨーロッパ人のフリをして地方の温泉宿に泊まることを趣味と…

純文学1000本ノック 103/1000 足立陽『島と人類』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した足立陽の『島と人類』です。 1.ざっくりあらすじ 常日頃から身につけたものを脱ぎ捨て裸になることを志向するヌーディストの未來夫は、大学教授として授業で裸になり停職に追い込まれる。マンションの一…

純文学1000本ノック 102/1000 奥田亜希子『左目に映る星』

どうも、こんにちは。 今回はすばる文学賞を受賞した奥田亜希子の『左目に映る星』です。 1.ざっくりあらすじ 小学生のころに勉強も運動も完璧な上、大人びた吉住という少年と出会った主人公の早季子は、コンプレックスだった左目だけの乱視という悩みを共…