純文学1000本ノック 17/1000 又吉直樹『火花』 漫才という芸術に人生をかけた青春
どうも、こんにちは。
最近は今日みたいにもったり暖かい日があるかと思えば、急に寒くなったりするね~。コロナもあるし、引き続き体調管理に気をつけようね。
さて、今回は一昨年の芥川賞を獲得し、大きな話題となった又吉直樹『火花』。話題性だけじゃないの?なんて穿った見方をしていたんだけど、いい意味で裏切られましたね、はい。
1.読後感
若干のひねくれさはあるものの、基本は青春小説なので後味は爽快なものとなっている。火花のように散りゆく一瞬の美しさ、または熱量が神谷と徳永の2人の生き方から映し出されている。
2.ザックリあらすじ
(1)師匠との出会い
お笑いコンビ「スパークス」の徳永は熱海の地方営業の際に、「あほんだら」というコンビの神谷という強烈な男に出会う。神谷が徳永を飲みに誘い、2人はすぐに意気投合し、徳永は神谷の漫才に対する姿勢や発想の斬新さから、彼を尊敬し師匠のように思う。
(2)東京進出
関西でくすぶっていた神谷は東京に進出し、徳永を頻繁に遊びに誘うようになる。彼らはしょうもない会話を繰り返しながらも、お互いを信頼し、日常から面白い会話をしている。
(3)スパークスのテレビ出演
スパークスは深夜番組に出て、徳永もやっとバイトをしない生活を送るようになる。一方の神谷は自分の思う「面白さ」に純粋で、才能はあるのに世間の感覚に迎合しようとせず、オーディションなどで落ちてしまう。ある日、徳永は神谷と久しぶりに飲み、スパークスの出るテレビ番組を一緒に見た時に神谷が笑ってくれなかったことと彼が徳永の髪形や服装を真似した精神を怒り、2人はしばらく会わなくなる。
(4)変わらぬ神谷
スパークスは相方の山下の結婚を期に解散し、徳永も引退しサラリーマンとなった。そんな時、音信不通だった神谷から連絡が来た。彼はただ「面白い」と思って、豊胸手術をしていた。そのことを批判しつつも仲直りした2人は10年ぶりに出会った地である熱海へ旅行に行く。
3.魅力
この小説で最も魅力的だったと感じたのは始めの数行である。その時点で色眼鏡で読み始めた視点が崩壊し、純粋に物語を楽しむことが出来た。それは美しく風情のある情景描写だった。いい作家というのは情景描写のみでそれと分かるものなのかもしれない。
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