純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 24/1000 村上龍『限りなく透明に近いブルー』 非現実的な世界観の中で苦しむ若者たち

 

どうも、こんにちは。

今回は村上龍のデビュー作『限りなく透明に近いブルー』。どんな作家でもデビュー作は傑作な場合が多いと思うが、この『限りなく透明に近いブルー』は純文学の新人賞「群像新人賞」を獲得後、国内純文学の最高峰である「芥川賞」を受賞し、今なお出版され続け、累計発行部数は350万部に及ぶ、規格外のデビュー作だ。

ちなみに、村上龍は当初タイトルを『クリトリスにバターを』にしていたそう。

 

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 1.読後感
全身の五感という五感が刺激され、読み終わると同時に溜まったエネルギーが身体から弾けるような感覚を受ける。僕が最初に呼んだのは高校生の時だったが、その時の衝撃はより大きく、自分の今まで見ていた安全な世界がぼろぼろと崩れ去るように感じた。

2.ザックリあらすじ

(1)荒んだ生活

東京都福生市に住むリュウはリリーという白人の恋人(明記はされていない)がいる。彼女とは別にリュウの家には、オキナワ、ヨシヤマ、カズオ、レイ子、ケイ、モコ、と言った遊び仲間がよく遊びに来る。彼らは皆常用的に薬物を使用し、破滅的な生活を送っている。

(2)パーティー

リュウはレイ子、ケイ、モコを米軍兵士とのパーティに呼び、米軍兵士から金を貰っている。米軍兵士たちはハシシ(大麻のエキスを凝縮し、固形にしたもの)を燃やし、煙を充満させた室内で乱交パーティーをする。

(3)リリー

パーティーの終わりに、米軍兵士の彼女が部屋へ入ってきて揉め事が起こり、顔の広いリリーが仲裁をした。リリーはリュウの仲間たちを良く思っていない。また、リュウのつるんでいる米軍兵士のジャクソンは危険な男だから縁を切るように助言している。しかし彼女もまた薬物に染まっている。

(4)パーティーとでたらめな日々

リュウはリリーの助言を聞かず、次の日もパーティーを行う。パーティーでは彼自身もおもちゃにされる。仲間たちと出かけたりもするが、世間の人々はきちがいのような行動を取る彼らを白い目で見る。

(5)解散

ヨシヤマとケイは付き合っていたが、ケイが彼を相手にしなくなり、ヨシヤマは酒を飲んでケイを殴る。正気に戻った彼は反省し、自ら手首を切る。リュウはヨシヤマを病院へ連れていき、ヨシヤマは一命を取り留めるが、仲間たちはリュウの家から去っていく。

(6)黒い鳥

リュウは気分の悪さを感じ、リリーの家へ行く。そこで彼はグリーンアイズという黒人に言われた黒い大きな鳥を見る。それは窓から見える暗い街全体である。彼は堪らず近くにあったガラス片で腕を刺す。

3.魅力

自分で書いたあらすじを読んでも訳が分からない。つまり、この作品はそれほどまでに単なるストーリーにではなく、主観が抜けて冷め切った独特の文体と美しく描き出される情景に魅力が詰まっているのである。日本語を母国語として読めることに感謝しながら、ぜひ一読してほしい。

 

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