純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 18/1000 吉本ばなな『キッチン』 台所からの哀しみと愛

どうも、こんにちは。

今回は吉本ばななのデビュー作『キッチン』、前回読んだ『TUGUMI』以来の吉本ばなな作品でした。やっぱり彼女の書く作品はとても優しく温かみの溢れるものだった。

 

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 1.読後感

吉本ばななの持つ美しい描写と特に温かみのある今作はその原点に触れられたようで、哀しみの中に喜びを見出すことができ、幸せな気分を味わえた。

 

2.ザックリあらすじ

(1)祖母の死

幼いころに両親を亡くし祖母とふたりきりで生きてきた、大学生のみかげは暖かい眠りにつける場所はいつもキッチンだった。ある時、そのたった一人きりの肉親の祖母が亡くなってしまう。途方に暮れた彼女に葬式の手伝いや一緒に住もうと提案してくれたのは祖母の行きつけの花屋さんでバイトしていた田辺雄一という大学生だった。

(2)田辺家にて

みかげは深い悲しみの中、田辺家にお世話になっていた。田辺家には雄一の他に、彼の父であり、現在はオカマで母と名乗っている、えり子さんがいた。彼女は強烈で優しく、雄一もクールだが優しい青年で、みかげを受け入れてくれた。みかげの心の傷は時間をかけて徐々に回復していく。

(3)えり子さんの死(満月 キッチン2)

田辺家を出て自活し始めたみかげに、雄一からえり子さんの死を伝える電話が入る。みかげはすぐに田辺家に行って一緒に過ごすようになるが、雄一は以前のみかげと同じように深い悲しみを背負い苦しんでいた。

(4)みかげと雄一

雄一はみかげが家にいることで少しは落ち着いていたが、ある日みかげが仕事で出張に行くことになった。雄一はみかげがいない内に旅に出た。そして、みかげはそんな雄一が戻ってこないかもしれないという予感を持っていた。みかげは出張先からタクシーに乗り、雄一の旅館まで行く。

 

3.魅力

やはり吉本ばななの持つ繊細で美しく、優しく温かみに溢れる文体が一番の魅力に思われる。その中で今作ではみかげの心の中がぐるぐると大きな動きを見せるのである。「キッチン」というタイトルからそれにまつわる話なのかと思って読み始めたが、「満月(キッチン2)」ではその後の2人の様子が悲しみも喜びも美しく表現されている。

 

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