純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

ゲーテ 『若きウェルテルの悩み』 時代を越えて私たちに響く心の声 純文学1000本ノック 31/1000

どうも、こんにちは

 

今回は、ドイツ文学界のレジェンド、ゲーテの代表作の一つ『若きウェルテルの悩み』。

 

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 1.読後感
読み終わった後、しばらく同じように恋愛や人間関係に苦しんだ若いころの自らの心のうちを眺め、もの思いに耽った。この作品は現代においても人の心の深い部分に根を張り離さない不思議な力を持った作品である。

 

2.ザックリあらすじ

(1)旅立ちと出会い

物語は主にウェルテルがウィルヘルム(兄弟?)へ宛てた手紙形式をとっている。ウェルテルは家を離れ、田舎町の社交界に進出する。そこで少しばかりの人を信頼し仲良くなり、ほとんどの大人を取るに足らないものだと評する。彼はあるパーティーに出かけた時にロッテという黒い眼を持つ美しい女性と知り合う。二人は密かに口づけを交わす。

(2)幸せな日々

ロッテにはアルベルトというフィアンセがいるが、彼は仕事でしばらく不在にしている。その間に、ウェルテルとロッテは親しくなっていく。ウェルテルはロッテの弟や妹たちとも親しくなっていく。ロッテは母を亡くした家で、弟たちの母のような存在となっている。ウェルテルはその間、自然やあらゆる物事が美しく輝いて見える。

(3)アルベルトの帰宅

しかし、アルベルトが帰宅すると状況は一変する。彼は賢く仕事もしっかりした立派な男である。ウェルテルはアルベルトの帰宅によって自分の立場が無くなることを前々から予見しつつも、彼の帰宅後、ロッテと彼の仲睦まじい様子を見て、深く苦しむこととなる。ウェルテルは彼らの前で、変にふざけたり、アルベルトと感性の違いについて激論を交えたりする。

(4)去るウェルテル

悲しみに陥ったウェルテルは彼らから離れ、ウィルヘルムが口利きしてくれた街で仕事を始める。しかし、彼は青年特有の生意気さから、優秀であるものの上司に嫌われてしまう。ウェルテル自身も上司を嫌い、仕事はうまくいかない。

(5)辞職

街である美しい女性と親しくなったウェルテルだったが、仲の良い伯爵の晩餐会でその女性を含む知人たちに身分の違いからすげなくされる。かねてより仕事に嫌気が差していたこともあり、彼は辞職を決意し、受理される。

(6)さすらい

気の合う公爵に誘われ、ウェルテルは彼の下で働くが、次第に公爵にも嫌気が差してくる。全てに見放されたように感じるウェルテルは再びロッテの元へと行く。ロッテと再会した彼は喜びを感じるが、同時に自分は絶対にロッテの伴侶になれないことに自暴自棄になる。

(7)きっかけ

ロッテの元へ戻って来た時、偶然会った昔馴染みの下男がウェルテルと同じように恋し、それに破れたことを知る。下男は女主人に恋していた為、家を追い出されてしまう。彼はそこに新しく雇われた下男と女主人が良い仲であるという噂を知り、新しい下男を殺してしまう。ウェルテルはこの出来事に痛く感動し、自らのことのように思う。彼は下男を助けようとするが、法律家のロッテの父に無下に断られてしまう。

(8)自殺

この辺りから編者の語り口で物語が進む。ウェルテルはロッテと自分の仲を永遠のものとする為、自殺することを決める。彼はアルベルトが不在の晩、最後にロッテの元を訪れる。ロッテはウェルテルが既に自分にとってかけがいのない存在になっていることに気付く。二人は熱いキスを交わすが、ロッテは我に戻り、ウェルテルへお別れを告げる。ウェルテルはロッテの気持ちを確認できたことを喜び、アルベルトの銃を借り、自殺する。

3.魅力

手紙形式での、軽快で率直な内面的描写が全編を通して深く印象に残る。この形式は散文で悲劇が無理だと言われていた当時、革命的なことだったそうな。時代背景は全く違えど、愛と絶望など、現代でも変わらず人間社会に続くテーマ性は不変であり、いまなお多くの人々を魅了しつづける作品である。

 

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