純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 8/1000 夏目漱石『坊ちゃん』 勧善懲悪物語とその影

 

どうも、こんにちは。

昨日はプールでしこたま泳いできたせいで身体中が悲鳴を上げているよ。

 

さて、今回は日本の文豪 夏目漱石の『坊ちゃん』を読んでみたよ。純粋な娯楽(本作は恐らくそれがメインだが)としても非常に面白く、その裏側の漱石の苦悩を考えるとより深みの増す作品だね。

 

「坊ちゃん」の画像検索結果 

 

1.読後感

スッキリ!とまでは行かずとも(主人公はスッキリしているが、終わりには悪が変わらず蔓延る予感が残る)、その走り抜けるような文体や江戸っ子のべらんめえ口調で鮮やかに周囲の非難をしていくところは痛快の一言である。

 

2.ザックリあらすじ

 (1)幼少期から青年期まで

親譲りの無鉄砲な「坊ちゃん」は、小さいころから問題児で、彼の味方をするのは女中の「清」というおばあさんのみだった。彼女はいつも坊ちゃんのことを正直で優しい心の持ち主であると褒めたたえ、将来は出世するだろうと言い続けた。坊ちゃんは父の死などを期に大学(物理学校:現東京理科大)に入り、勉強をする。

(2)赴任

大学を卒業した坊ちゃんは教授の口利きで四国の中学校の教員職に就く。そこで彼を待っていたのは生徒からの新任教師いびりや癖のある教頭(赤シャツという渾名:いつも赤シャツを着ているため)や他の先生との不和による心落ち着かないものであった。

(3)教頭の陰謀

教頭は坊ちゃんが直情型の単純な人間であるから、自分に反抗してくる数学主任の堀田と仲たがいするように策を弄する。坊ちゃんはまんまとその策に乗り、堀田と喧嘩をする。しかし、堀田が別な一件で坊ちゃんをかばったことなどで堀田への評価は上がる。

(4)誤解が解けて

堀田と坊ちゃんは誤解が解けて、仲直りする。そして、教頭が全て黒幕のように悪いことを仕掛けているのを知り、2人で教頭を懲らしめる計画を立てる。そんな時、中学の生徒と他校の生徒の喧嘩が勃発する。

(5)新聞

その喧嘩を止めようとした堀田と坊ちゃんは翌日の朝刊に喧嘩を扇動したと嘘を書かれてしまう。発行の翌々日に学校の抗議で取り消されるが、教頭の陰謀により堀田のみが辞職するように言い渡される。坊ちゃんはそれに抗議し、自分も辞職をすると言い出す。

(6)作戦の実行

いよいよ辞職した堀田は教頭が芸者と遊んでいる証拠を捉えようと張り込みを開始する。10日経った後でようやくその尻尾を掴み、教頭を取り押さえる。しかし、教頭は証拠が無いことでかわそうとする。教頭を暴力によって懲らしめ、2人は四国を去る。

(7)その後

坊ちゃんは東京にいる清の元へ帰り、人の口利きで国鉄の仕事に就くと清を下宿に住まわせ一緒に過ごす。清はしばらくして肺炎で亡くなった。

 

3.背景

この当時、夏目漱石は精神を病んでいた(留学によって産業革命を成したイギリスの姿を見たことを発端として)。日本文学も近代化された論理の文学へと色を強めていく。その中で漱石近代文学や社会に対するアンチテーゼとして自分自身に深く根付いた江戸町人気質の勧善懲悪物(当時では時代遅れでもあった)を描いたのである。そして、輪廻のように現代再びそういった物質社会が見直され(サステナブルな社会など)ようとしている・・・・・・。

 

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