純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 7/1000 ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』 子供たちの純粋さ故の恐怖

 

どうも、こんにちは。

寒い日が続いてるのでコロナ・インフル・風邪、お互い体調管理には気をつけようね。

 

今回は ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』を読んでみたよ。いやあ、ビックリするくらい綺麗で残酷な表現に目から鱗

 

 

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1.読後感

僕はこれを2日で読んだ。そのせいか、はじめの1日目に見えたこの本の景色と、2日目に見た景色は全く異なったもののように見える。途中の可愛らしい心温まる子供たちの純粋な愛憎、後半からラストにかけての残酷な子供たちの愛憎、どちらも美しく描き出されているけれど、読んだ後は心がキュッと締め付けられるようだった。

 

2.ザックリあらすじ

 (1)雪合戦で瀕死になるポール

学校終わりの雪合戦の最中、ポールは憧れの生徒ダルジュロスに近づこうとするも、裏切り者と勘違いされ逆に雪玉を投げつけられてしまう。ポールは意識不明となり、それを見ていたポールに親愛の情を抱くジュラールが先生を呼び、彼を助け出した。その後、ジュラールがポールを家まで送る。

(2)子供部屋の生活

ジュラールはポールをその姉のエリザベートに受け渡す。ポールは回復するも、ダルジュロスが退学になったことを知り、学校に行かなくなる。ジュラールもその部屋に出入りするように3人(主にエリザベートとポール)は毎晩愛憎の籠った喧嘩や狸寝入りなどの演劇(3人にはその意識はなく日常である)を繰り返す。

(3)アガートとの出会い

ジュラールのポールへの親愛の情が徐々に愛としてエリザベートに向かっているのを意識している頃、エリザベートはジュラールの叔父(経営者)の口利きでモデルとして働き出す。彼女はそこで見つけた孤児のモデル、アガードを自らの家に住まわせることにした。アガードはダルジュロスと非常に似た顔だった。

(4)4人の奇妙な生活

ポールはアガードにダルジュロスの面影を見て心が不安定になるが、やがて自分の気持ちに報いず横暴だったダルジュロスへの復讐のようなものとして、アガードに強く当たることでその気持ちを晴らそうとする。そんな自分勝手で無鉄砲なポールをアガードは崇敬するようになる。様々な事情で孤児となった4人は以前のように子供部屋で毎晩のように過ごすようになる。

(5)エリザベートの結婚

エリザベートはジュラールの叔父の紹介で知り合ったアメリカの資産家の青年マイケルと結婚する。アガードはそこの邸に共に住む。しかし、その結婚はその後すぐのマイケルの事故死によって、終焉を迎える。多額の遺産を受け継いだエリザベートは実家に残っていたポールを家に住まわせる。

(6)4人の子供部屋

邸が居心地悪く姉と喧嘩ばかりしていたポールは屋敷の広間に衝立を立てて「子供部屋」を再現する。再び4人はそこに集まるようになる。ある時、突然ポールがアガードへの自分の気持ちが愛であることを自覚し告白の手紙を送る。アガードも同じころにポールへの愛が抑えられなくなりエリザベートに胸の内を打ち明ける。弟を取られることに嫉妬したエリザベートは策略を立てアガードはジュラールと結婚することとなる。

(7)2人の死

アガードとジュラールは表面を幸せそうに装いながら新婚旅行へ行く。ポールは失意の内に以前の病気を再発する。そのころ、ジュラールは偶然ビジネスマンとなったダルジュロスに会い、彼からポールへのプレゼント(毒薬の玉)を受け取る。ジュラールはポールへ注意しながらそれを渡す。ポールはある日アガードに毒の玉を食べ自殺する旨手紙を書く。アガードがそれを読んで来た頃には彼は瀕死になっている。そこで2人はエリザベートの策略を知りお互いが相思相愛だと分かる。エリザベートはポールに罵倒されるもポールと幼い頃からやっていた遊びで2人だけの世界に誘うと自分も近くの拳銃で自殺する。

 

3.魅力

全体の魅力として、まず外せないのは詩人と呼ばれることを好んだコクトーの詩的な美しい描写である。さらに子供たちの一見すると不可思議な行動が子供たちの純粋な愛憎によって極めて緻密に作り上げられている。あの三島由紀夫も夢中になったということも頷ける作品である。

 

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