純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 22/1000 J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』 世界中の若者を熱狂させた物語

どうも、こんにちは。

今回は累計部数6000万部を記録し、伝説的な人気を誇る『ライ麦畑でつかまえて』を紹介するよ。画像は村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。どちらも同じ作品だけど、タイトル訳としては『ライ麦畑でつかまえて』が日本語で一番クールで有名だと思うから、これを使わせてもらうよ。

 

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 1.読後感
今回で2度目だった。1度目は正直あまりの衝撃からしばらくこの本のことばかり考えていた。今回は随分冷静になって、主人公コールフィールドの精神の流れだったり、彼の性質的な部分をゆっくりと見ていくことが出来た。

2.ザックリあらすじ

(1)ペンシー校からの放校

物語はホールデン・コールフィールドの一人称、さらには口語体という独特な形で進んでいく。彼は学校に合わず、欠席も多く酷い成績を取り、退学させられてしまう。彼は以前にも2校退学になっており、実家に戻ることに決まりの悪さを感じている。

(2)ペンシー校での最後の日

彼は歴史の先生の元に挨拶に行ったり、友人と外食したりして過ごす。彼は大抵の場合、それらの人々をけなしている(逆に一部を褒めることもある)。彼はルームメイトの体育会系のストラドレイターとその夜喧嘩をする。理由はジェーンという彼の旧友(元恋人のような)をストラドレイターが引っかけたことだった。彼は反対にやられ、血まみれになり、後数日退学まで残っているが、その日に学校を出る。

(3)ニューヨーク1日目

彼はたびたびジェーンに電話をかけようか迷うが(1回かけたが彼女の母が出て切った)、落ち込んだ気分のまま、バーに行って女性に声をかけたり(彼女たちはすぐに帰ってしまう)、娼婦を買ったりする(何もせずに帰す)。すさんだ気持ちの中、彼は妹のフィービーに会いたくなる。

(4)ニューヨーク2日目

彼は昔からガールフレンドのように仲良くしているサリー・ヘイズをデートに誘う。彼女は頭は良くないが、演劇や文学の知識が豊富でとても美しい女性である。彼は彼女とデートしているが、暴言を吐いてしまい、彼女は気を悪くして帰ってしまった。彼はより酷い精神状態になり、バーに酒を飲みに行く。彼は真夜中に酔いがさめてから、妹のフィービーに会いに行く。

(5)フィービー

彼は欺瞞に満ちた(と彼が感じている)大人たちが嫌いで、純粋な心を持った子供が大好きである。特にフィービーは子供にしては賢く話も分かり、彼の唯一の理解者だった。夜中に実家に入ると、彼はフィービーを起こし、お喋りを楽しむ。

(6)西へ

彼は両親が戻ってきたので、見つからないように家を後にし、かつての恩師アントリーニ先生に会いに行った。先生は彼に的確で素晴らしいアドバイスを送った。しかし、彼が寝ているときに、先生は彼の頭を撫でた。それに気づいた彼はゲイだと思い、すぐにその家を後にする。彼はもう信頼できる大人がいなくなってしまった。彼はヒッチハイクをして、西へ行こうと思う。しかし、お別れの挨拶に行ったフィービーに一緒に連れて行ってとせがまれ、彼の計画はとん挫する。

 

3.魅力

ホールデン・コールフィールド、彼は多くの若者がそうであるように、大人たちが持つ汚れをしらない(現に彼は童貞である)。しかし、他の若者と違い、非常に繊細で賢い為、皆が成熟していく過程で彼はそれに馴染めずに、世間や社会などに反抗し続ける(彼によるとそれらはインチキで満ちている)。そこに全ての若者が感じる普遍的な悩みと共感性が含まれており、世界中で愛されている理由があると思う。また、特筆すべきはその独特で洗練された口語文体で、彼の目はこの本を通じ、世界を見るのである。

 

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