純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 12/1000 フランソワーズ・サガン『悲しみよ こんにちは』 美しい海と恋と青春の残酷さ

 

どうも、こんにちは。

いやー、天気のいい日が続く中、連日読書読書の毎日だよ。

晴耕雨読」ならぬ「晴読雨読」

 

今回はパリジェンヌ、フランソワーズ・サガンの『悲しみよ こんにちは』を読んだよ。いやーーー素敵だね、シニカルな描写も、海の美しい描写も、感情の吐露も何もかも・・・。女性作家ハマりそうです、僕。

 

 

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 1.読後感

美しい絵を観た時のような感情と共に、自分の中にある俗っぽい部分を照らしてそれにうんざりする気分が同時に溢れ出すような、そんな作品。豊かな情景描写と心情描写は心が洗われるような気もする。

 

2.ザックリあらすじ

 

(1)バカンスの始まり

幼いころに母を亡くし、修道院に10年ほど預けられていた17歳のセシルは広告マンとしてバリバリ働きながら、未だ若く享楽的な生活をする40代の父レエモンとその愛人(情人)エルザと真っ白で素敵な別荘に2か月間のバカンスへ行く。

(2)シリルとの出会い

海辺の砂浜で寝ていたセシルにシリルという同じくバカンス中で健康的な小麦色の肌をした真面目な青年と知り合う。セシルは大学生などあまり好きでは無かったが、シリルの真面目な雰囲気に惹かれていく。

(3)アンヌの合流

3人のバカンスは順調だったが、そこに母の古い友人であり美しく知的なアンヌという女性を父が誘っていた。セシルはエルザのことを考え心配するが、その予想以上にアンヌが来たショックは大きかった。セシル自身にも享楽的な生活を止め、勉強するように軽蔑した顔で言われる。セシルはアンヌへの憧れと共に反発が強まっていく。

(4)アンヌとレエモン

遊び惚けていた父レエモンは、アンヌのその美しさと知的さ、慎ましさに徐々に惹かれていく。結局4人でカンヌへ遊びに行った際に父とアンヌは良い仲となり、早くも結婚を決めてしまう。エルザは別荘を去っていく。

(5)セシルの策略

結婚という話が出てセシルの心中は穏やかでは無かった。3人での生活(慎ましく、知的な)を想像すると陽気な父と自分には耐えがたいものに思われた。そこで、そのころには精神的にも肉体的にも愛し合っていたシリルとエルザを使い、父の独占欲により、父とアンヌの関係を壊そうと考える。

(6)策略の行方

シリルとエルザを使った策略は見事に効果を発揮し、父は良心の呵責を感じながらも、エルザを自分のモノである、と再確認したい欲望に駆られる。結局、父はその欲望に抗いきれずにエルザを誘ってしまう。

(7)去ったアンヌ

その一部を目撃したアンヌは泣く。セシルはその顔を見て、酷く後悔し弁明しようとするが、アンヌは車で別荘を去ってしまう。父とセシルはアンヌへ謝罪の手紙を書くも、電話が鳴り、2人はアンヌが事故で死んだことを告げられる。

 

3.魅力

 

情景、心情の描き方など、現代日本の作品では見ることが出来ない美しさと残酷さが潜んでいる。特に感動したのは心情の描き方である。そこには己の醜い欲望、残酷さなどが非常に正直に、かつ魅力的に描かれているのである。30代の酸いも甘いも知った女性に見てほしい作品である。

 

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