純文学1000本ノック

ただひたすらに純文学の読書感想を並べていきます。

純文学1000本ノック 4/1000 シェイクスピア『ハムレット』 ハムレットの狂気の中に見出したもの

 

コロナウイルスさん、こんにちは。

 

先週から家にこもり出したので僕は読書に精を出しているよ。

今回は純文学?ではないかもしれないけど、今なお世界中の作品で引用される数々の名言を残したシェイクスピアの戯曲『ハムレット』を読んだよ。

僕が作中で気に入ったのはハムレットのこのセリフだ。

 「ふむ、思慮というやつは、四分の一が智慧で、あとの四分の三は卑怯者」

 

1.読後感

 

全編を通して成される復讐劇は果たして成就するのである。その意味でのある一種の爽快感を得て、スッキリとは言えないまでも溜飲が下がるような気持ちは沸き起こった。ただ、この戯曲がシェイクスピアの悲劇に属していることもあり、終わりには単純な勝利とは言えない複雑なものが心に残る。

 

2.ザックリあらすじ

 (1)父の死後

物語は勇猛果敢なデンマーク前王として君臨した父ハムレットの死後、父の弟であるクローディアスが王となってから始まっている。彼は父の死後2月と経たずに王座のみならず、前王の妻ガートルードと結婚し、妃としてしまう。前王ハムレットの息子である王子ハムレット(同名)はそんな状況を受け入れられず、一人未だに現在を嘆いていた。

(2)父の亡霊

そんな折、夜中の見張りをしていたホレイショー(王子ハムレットの親友)らが前王の亡霊を見る。彼らはハムレットにその話をし、前王の亡霊と引き合わせる。前王の亡霊はハムレットを見ると、自らの死の真相を語り出した。それはクローディアスの恐ろしい謀略による殺害であった。ハムレットはそれが本当であるならば必ず復讐をしよう、と誓う。

(3)ハムレットのきちがい沙汰

すぐに復讐の行動を起こせなかったハムレット(父の亡霊の言葉が悪魔のささやきで嘘かもしれないという思いもあった)はきちがいのようになり、散々な格好で城をうろつくようになる。恋しあっていたオフィーリアにも酷い言葉をぶつける(母であるガートルードが裏切り者の叔父と結婚したことで女性に対して懐疑的な見方をするようになっている)。

(4)亡霊の言葉の見極め

ハムレットは自分のきちがい沙汰を心配した王や母が気持ちを慰めるために呼んで来た役者たちを使い、父の亡霊が言っていたことが本当であるかどうか見極めようとする。その方法は役者たちに父の亡霊が言っていた暗殺の様子を再現させ、それを見た王の様子から判断しようというものであった。役者たちとハムレットの演出で王は並々ならぬ態度を見せ、ハムレットは王の裏切りを確信する。

(5)王の陰謀

王はこのままハムレットを城に置いておくのはマズイと感じ、きちがい沙汰を理由にイギリスに島流しすることにする。 さらに同行する2人にイギリス王宛の手紙を持たせ、その中で到着次第ハムレットを処刑するように依頼する。一方、ハムレットは一連の芝居をたしなめる為に母に呼ばれた場で母は父を裏切り叔父と邪淫の床についていると糾弾する。その時、母の部屋に隠れていた宰相ポローニアスの気配に気づき、一突きで殺してしまう。母はあまりの悲しみに泣き崩れてしまう。

(6)イギリスへ

ハムレットは王の陰謀のままにイギリスへ追い出される。その間、王は悪い噂にならぬよう宰相ポローニアスの葬儀をヒッソリと行う。ハムレットはイギリスへの航海の途中、王からの手紙に気付き、内容を書き換えて途中で襲ってきた海賊船に逃げ込みデンマークへと戻る。城では宰相ポローニアスの息子であるレイア―ティーズが民衆を連れ王へクーデター騒ぎを起こしている。

(7)王の陰謀再び

ハムレットが戻っていることを知った王は、クーデター騒ぎのレイア―ティーズに父ポローニアスの死の真相を伝え、復讐の場を用意する。戻ってきたハムレットは何の気なしにその決闘を受け入れる。レイア―ティーズは自分の使う剣に毒を塗り、王はハムレットの休憩用の杯にまで毒を入れた。

(8)決闘

ハムレットとレイア―ティーズは決闘を始める。ハンデをもらったハムレットは始め押しているが、レイア―ティーズに剣をかすられてしまう。妃はハムレットの応援で毒入りの杯を飲んでしまう。戦いで入り乱れるなかで二人の件は入れ違い、レイア―ティーズにも毒剣が刺さる。レイア―ティーズは良心の呵責に苛まれ、ハムレットに真実を告げ、ハムレットは王を刺し殺す。

 

3.感想

正直、最初は全く読む気がしなかったんだけれど、読み始めるとセリフ体がメインになっていてすごく読みやすい。中でもきちがいのようになってしまった(見せかけた)ハムレットの一見意味を成していないようで相手を痛烈に批判するセリフの数々は現代文学を遥かに凌駕したウィットがあった。ふと、同じような題材として太宰治の「走れメロス」が浮かんで来たけれどハムレットの方がより人間の内面にある揺れ動く感情を吐露していて、その複雑な魅力により惹き込まれていった。

 

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