純文学1000本ノック 10/1000 ヘミングウェイ『老人と海』 ヘミングウェイのたどり着いた極地
どうも、こんにちは。
コロナウィルスが国内感染を続々と増やしているね。みんなも気を付けよう。
今回はヘミングウェイの『老人と海』。実はこの作品は昔一度 読もうとして断念した作品だ。なぜなら最初の漁の準備やら日常の生活ぶりと会話からなる単調な描写が昔の僕にはとても耐えられなかった。他のヘミングウェイ作品は大好きだったんだけどね。今回は何とか克服したよ。
1.読後感
主人公である老人に自分を投影し、過酷な漁の中で体力を失ったような気持ちを味わった。しかし、そこには不思議な爽快感も伴っていた。
2.ザックリあらすじ
(1)老人と少年
老人は一匹狼で漁を続ける漁師である。だが、5歳から息子のように可愛がっていた青年にだけは心許し共に漁を行っていた。老人は過去には素晴らしい漁をしたそうだが、最近は84日間も不漁で金銭的にも困り、青年の施しを受けるほどの状況である。青年はあまりの不漁に親の命で他の漁船に乗り漁をしている。
(2)85日目の漁
老人はそろそろ運も巡ってくるはずだと思いながら、今日もひとりで漁に出る。しかし、一向に魚の気配は無い。やっとの思いで見つけた飛び魚の群を追い、それを狙う小さなビンナガマグロを釣る。
(3)大物を狙って
老人は大物を狙って綱を下ろし、待っている。そしてついにその時が訪れる。その引きは今までに経験したことがないほどのもので、長時間に渡って彼を苦しめ続ける。
(4)大物を釣る
約2日に及ぶ戦いの後、遂にその大物を釣り上げる。そいつは大きすぎて船に収まりきらないので、船横に括り付け岸に船を動かす。戦いの中で彼はその大物を兄弟のように親密な存在に感じており、殺したことへの罪悪感のようなものにたびたび苛まれる。
(5)サメとの攻防
大物の心臓を突いたことによる血の流れで次々とサメが襲撃してくる。その回数は3度に及び、描かれているだけでも7匹以上である。老人はありあわせのナイフなどで必死にサメを撃退していくが、岸に着くころには頭と骨を除くほとんどがサメの餌食となってしまう。
(6)家へ
老人は失意のまま家に着き、青年が弱り切った世話をしてくれる。老人は少し満足したように深く眠る。
3.魅力
最初に書いたように、僕はヘミングウェイ大好きです。それはハードボイルドの始まりと言われた男らしく行動のみがツラツラと描かれていることであり、内容としても、今回の漁や『日はまた昇る』の闘牛、ボクシング、『誰がために鐘は鳴る』の戦争など、極めて男オブ男というテーマばかりなこともある。今回はそのヘミングウェイの名声を確実なものとし、ノーベル文学賞獲得の要因となった作品である。言わずもがな、今までのヘミングウェイの全てが凝縮されたように男の漁と言わんばかりの漁をする。しかし、今回は全盛期をとっくに過ぎた老人の哀愁が漂い、その苦悩の中(直接は描かれていない)で今までの経験と力を基に大物を釣り上げるのである。しかし、単純な娯楽としてはやはり『日はまた昇る』や『誰がために鐘は鳴る』を推薦したい。
面白かったらクリックしてね、ホーミー↓