純文学1000本ノック 46/1000 川端康成『伊豆の踊子』 川端の実体験に基づいた悲しくも美しい物語
どうも、こんにちは。
今回は、日本で最初のノーベル文学賞を受賞した川端康成の『伊豆の踊子』
1.読後感
美しいかなしさが心のなかにふっと舞い落ちるような、そんな終わり方だった。
2.ざっくりあらすじ
(1)踊子
一人伊豆の旅へ来ていた大学生の主人公(私)は、天城峠の茶屋で休憩した。そこでは旅芸人の一行が休んでいた。そのなかに美しい踊子がいた。主人公は踊子とどうにか近づくために、先に茶屋を出た一行を追い、途中で追いつきそのなかにいた男と親しくなる。
(2)湯ケ野
彼らは途中まで一緒に歩いていたが、湯ケ野で旅芸人一行が木賃宿に泊まり、主人公も男の案内で近くの温泉宿へ泊まる。夜になると、旅芸人一行が太鼓を鳴らしながら、客の座敷へ呼ばれていく。主人公は温泉宿の方へも来ないかとむずむずしながら過ごす。
(3)親密に
旅芸人一行に合わせて延泊を決めた主人公は、次第に踊子と親しくなり、彼女まだほんの少女であり生娘であること、親しくなった男の妹であることなどを知る。主人公はその純真さに、孤児根性で歪んだと自分で自分を責めてささくれた心をほぐされていく。
(4)別れ
主人公は金が尽き、学校を理由に帰ろうとする。見送りには親しくなった男(栄吉)とその妹の踊子が来た。主人公は土方風の男の頼みでおばあさんを水戸まで送り届けることを快く引き受ける。船では涙を流すが、それは甘い快さだった。
3.魅力
川端独特の文体、とくに描写の美しさと入り込みやすさ、が見事に出ている作品である。情景描写は美しく、それが目で文章を追うごとにすっと染みわたっていく。この感覚は他の作家ではなかなか味わえるものではない。そして、心の苦しみを抱えた主人公が踊子の純真さに出会い、それをほぐされていく過程が美しく描かれている。
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